発毛への願い
発毛を実現させたいと思っている僕は、発毛を促すための薬を探している。小さな時から、僕の悩みは髪の毛が薄いことであった。小さな時は、きっと大きくなったらフサフサになるのだと思っていた。しかし中学生になっても、高校生になっても、大学生になっても髪の毛はフサフサにならなかった。すでに高校生の時は「どうやっても髪はフサフサにならない」と諦めていた僕である。それでも髪の薄さをごまかすために、わざとスポーツ刈りのように髪を短く切って目立たないようにしていた。だが、これが社会人になるとそうもいかなくなったのだ。
発毛を実現させたい。そう思ったのは、社会人になって髪を伸ばすようになってからだ。スポーツ刈りは、やはり若い内しか似合わない髪型なのだ。歳を重ねるにつれ、顔には年齢相応の落ち着きが出てくる。そうなると、どうやっても短い髪が似合わなくなってしまったのだ。仕方なく、僕は髪を伸ばすことに決めた。しかし伸ばしてももともとの髪がすごく薄いので、なんだかとてもみっともない。僕は鏡を見る度に落ち込んだ。
発毛って可能なのだろうか、いつからか、僕はそんなことを考えるようになった。もっと毛が生えてくればなあ、と思うのだが、自然に任せておいたのでは事態は改善しないだろう。もともとフサフサしていた毛が薄くなったのならともかく、最初から薄かった髪を増やすには何か手段を考えなくてはならない。そう思った僕は、なにか良い方法が無いだろうかと頭を悩ませた。そして行き詰まって、パソコンを開いた。
発毛できる方法はないだろうかと、僕は自宅でインターネットを始めた。インターネットには様々な情報があるので、もしかしたら発毛に関する情報を手に入れることができるのではと思ったのだ。その目論見は当たった。僕は、ネット上で「発毛のための薬」をたくさんみつけることができたのである。
発毛のための薬を使ったことは無かったけれど、何にでもすがりたい気持ちだった。とりあえず一番売れているものを通販で購入し、試してみることに決めた。これで発毛の願いが叶うと良い。買い物カゴのなかの発毛の薬を決済にまわしながら、僕は祈るような気持ちでボタンを押した。発毛への願いを込めて。